2012年05月21日

ビデオゲーム文化論

 昔書きつづった文章が出てきたので、少し調整して掲載します。
題してビデオゲーム文化論。

ンピューターゲームは果たして玩具か

  ビデオゲームソフトが玩具店で売られている以上、それは玩具的商品であると言える。
 玩具というイメージから遠い、テーブルトークRPGも、意気な玩具店でならお目にかかれるように、玩具店が扱う商品は幅が広い。
しかし一概に玩具店にある商品はすべて玩具であるというのには、少し乱暴すぎるだろう。
ではおもちゃの定義とはなにか、ホビー全般と比較検討し、ビデオゲームの未来を考察してみる。

 ○オモチャの定義

 玩具とは ”現実または架空の森羅万象を模倣したもの”であると定義してみたい。

 模倣。
 それそのものではないが、それに限りなく近く、あるいは用途別にアレンジされて、人が自ら参加して楽しむもの、さらに比較的低年齢から使用することができることが、オモチャたるべき定義である。

 SANY2627.jpg100円ショップで見つけたおもちゃのマイク、しこんだバネが声で反響することで、エコーがかかっているように聞こえる。すばらしい模倣。

 飛行機や車、動物などを模倣した玩具。子供が乗って遊べるようにした乗用玩具。これらはすべて、玩具のカテゴリーであり、模倣が確実でリアルなほど玩具とは呼ばれにくくなり、対象年齢が上がる。リアルな鉄道模型やモデルガンは、玩具と同じく模倣であるのにもかかわらず、玩具店ではなく主に模型店で売られているのはそのためだろう。

 模倣の方向性がリアルで精巧になるほど、玩具とは言わずそれは大人のホビーと呼ばれることになる。

 ○スポーツの定義

 ついでだからこれも言及しておく。我々がスポーツと呼んでいるものは、適度またはそれ以上の肉体疲労を伴い、ゲーム性があるものならば、「スポーツ」と呼んでいるようである。野球、サッカー、卓球、ビリヤード、ゲートボール。このうち、どの種目が一番肉体疲労があるかというと語弊があると思うが、差はある。
 囲碁や将棋は頭脳のスポーツと言われるがまさにそうで、適度またはそれ以上の頭脳疲労が伴っている。ただ肉体は元気なままなのでスポーツとは呼ばれない。

 F1やル・マンなどの自動車レースも、スポーツの定義に当てはまる。ゲーム性があり、ドライバーやエンジンは必ず疲労する。
モータースポーツと呼ばれるのはそのためだ。

 では、ボールは玩具だろうか? いやボールはスポーツ用品である。
 キャッチボールをして遊んだあとに「オモチャで遊んだよ」とは言わず、「ボールで遊んだ」というはずだ。
その証拠に野球を模倣するための、プラスティック製のバットとボールは玩具店に広く普及している。
 小さな子供にとって危険なので模倣で充分なのだ。危険でなくなればたいていの子供は、もっと本格的な軟球と木製バットを持って、野球をするようになる。
 模倣度合いが高く、まがい物になればなるほど玩具だ。素材が安っぽいというのもあるかもしれない。

 ○ではビデオゲームはなんだ?

 玩具とおなじく”現実または架空の森羅万象を模倣したもの”である。
 これは、ビデオゲームは充分に玩具や模型等に近いものであるといえる。
そしてそれらにルールを加えゲーム性を加味した上で、コンピューターソフトウェア上に表現している。
結論、ビデオゲームは広義の意味で玩具である。 無論、旅客機のパイロットシミュレーターも広い意味では玩具である。

 ただその方向性がエンターテインメントではなく訓練用に開発されているため玩具といわれることがないだけだ。
 模倣しているかしていないか・・・これが玩具とその他を分ける究極の境界線ではないかと思う。

 ○業務用ビデオゲームを模倣していた家庭用ビデオゲーム

 そもそも玩具店でゲームソフトが売られるきっかけになったのは、ファミコン以前にゲームセンターのゲームを模倣した、家庭用ゲーム機や、小型のLSIゲーム機が売られたのが最初である。最初はアーケードゲームを模倣した、ただの玩具であった。
それがテレビに繋がり、カセット交換式になり、CDROMが付き、16ビットを経て3Dポリゴン標準搭載にまでなったのだ。
 わたしはビデオゲームは広義の意味で玩具であると思っているが、今の形で初めてビデオゲームが出現していたら、おそらく玩具店では売っていないだろうと推測する。パソコン店かゲーム専門店だけにしかないだろう。

 模倣していたという方向から見れば、昔のゲームソフトは非常に玩具的であるといえる。
表現力には当然劣るが、「まがいものの楽しさ」がそこにはあったのだ。

 ○メディアの狭間で・・

 ビデオゲームを玩具たらしめているのは「模倣」であるという結論だったが、ビデオゲームが、
他のメディア、映画やミュージックCD及び小説、漫画などと方を並べるものに成長したことも事実である。制作者の意図を正確に表現できるという点では、ビデオゲームは映画や小説、絵画と同じく表現物である。しかし、模倣していることやユーザーが参加して楽しむ点で同時に玩具でもある。

 基本的に観賞して楽しむのは玩具ではない。映画や音楽ソフトは芸術であるとされている。
では参加して楽しむことができると、それは「玩具的要素」をはらんでいるとも言えないだろうか。

 1980年代に流行したゲームブックは、小説に各要所にパラグラフ(選択肢)を付け、読者が参加できるようにしたものだ。これは限りなく本に近いが、非常に玩具的である。もともとはテーブルトークRPGのシナリオを一人でも遊べる用にしたものが発祥のようであるが、その好評を博したゲームブックも、刊行されなくなって久しい。
 玩具的要素がその寿命を短くしたのかもしれない。
 最初は斬新で「参加できる小説、君が主人公だ!」という売り文句だったが、その新鮮さに飽きると、ストーリーが分岐するために1回読んだだけでは、ページ数のわりに内容の薄さが目立ってしまうという欠点が見えた。粗悪な作品もあることから、日本では名作もろとも衰退していったと推論できる。

 遊びに飽きたユーザーと衰退。今のビデオゲーム業界もそんな空気がただよっていないだろうか。
 玩具的な要素はとても面白いが、新鮮さというのは必ず慣れていき薄れるものである。特にそれが一人遊びである場合は飽きるのが速い。

 そういえばかつてのファミコンとゲームブックの流行タイミングが妙に合うのも興味深い。

 ○未来はあるのか

 ビデオゲーム市場が消えて無くならないのは、ゲームブックと違い汎用性に富んでいることやハードウェアの進歩による刺激。
それと数々の名作が生まれたことだ。ドラゴンクエストシリーズやファイナルファンタジーシリーズは最近のものになるほど賛否両論あるが、最初のものは名作で、これまでゲーム業界を引っ張ってきたといっても過言ではない。将来ビデオゲームはなくなることはないと思うが、確実なことは、今現存しているすべてのゲーム制作会社、販売会社を食べさせていく市場は残っていないように思える。

 ○この先どうなるか

 需要は減り続けるので、供給は大きく減少させなければならない。
 ゲームタイトル本数減少のために、多くの販売会社が抱えているであろう開発部隊(別会社、自社問わず)や営業マンをリストラすることになる。鬼の如く増えたゲーム開発者はなにをしていけばいいのだろうか。今も現在進行形でゲーム製作者が淘汰されていっているということは言えるのではないだろうか?

 ○ゲームソフトの安定受注供給

 今から10年ほど前に、わたしは次のような憶測をしていた。

 「音楽や映像も同じだが、これらデジタルデータのほとんどがネットで配信されるかネットで直販の形を取る時代になる。
価値あるものをより安くではなく、価値あるものを適正価格で売ることが大事なのだ。過剰在庫を持たずに、希望するユーザーに適正価格で提供する。安すぎても高すぎてもダメである。販売店でも予約販売に徹底し店頭在庫を少なくする。大量に仕入れて大量に売るなどと考えず、ユーザーに新製品の注文を促す店作りを心がける」。

 現在、2012年。高性能スマートフォン(W-ZERO3シリーズは省く)が普及し、ゲーム機はネット接続が常識となりつつあり、ダウンロードコンテンツも豊富だ。10年前に考えていた理想に近づいているといえる。パーケージソフトは昔と同じく変動も過剰在庫も激しいが・・・。

 ○中古販売

 リサイクルゲームは対象のゲームが発売開始から1年間は売ることができなくする。一年あれば、充分に開発費や宣伝費を回収できるはずである。これは古物販売免許を持つ業者のビジネスができないというだけで個人的にネットで買い取りを募集することには言及しない。
個人が放出するのを待って、買い控えたりするユーザーはまずいないだろうし、一年過ぎるまではネットでの価格も高額になるだろう。

 sorehanai.jpg
 
 ゲーム販売店には、一年以前の中古ソフトが並び、新製品を駆逐することはない。資金力があって興味ある人は新品をより早くプレイできるし、興味が薄いかお金を使えない人は1年待って安くゲームをことにする。今の現状からすると、中古ユーザーにとってはかわいそうだが、
ファミコンブームのときもディスカウトスーパーで2割引で買うのがやっとで、中古販売自体も大変少なかったのだ。
 しかも現在の価格は当時より安くなっている。
 とにかく、在庫だらけの大安売りではだめで、もっと貴重なものであることをユーザーに再認識させなくてはならない。中古ソフトの価格は、市場在庫の数や評判により変動させればよい。

 ○これからの市場
 
 少なくとも市場は縮小しつつも、存在はする。

 これから先、市場も変化していくと思うが、そのとき制作に携わるあなたはゲーム業界に活き続けているだろうか?

以上

 個人的憶測も含まれているので、各個人でご判断頂きたく存じます。
 昨今はダウンロードゲーム販売も盛んで、スマートフォンの勢いにも目を見張るものがあります。
良質のゲームを自由に販売できる土壌は、昔にはなかったことで、上記の記事ではその予測すらできていませんでした。
 でも、僕はゲーム業界が元気よく拡大しているとは思っていません。これからはいかに安定させていくかが業界の課題だと思っています。
 とはいえ、 僕のほしかったモノはこれだったんだ! とお客さんが思える、なにかワクワクする創作物を作りたいと思う気持ちは変わっていません。
posted by 難波鷹史 at 21:16| 京都 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | ビデオゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おもちゃのマイク興味深い(≧∇≦)
なんか今度、唄って下さいな(^w^)
またいつか交わりましょ〜家にも来て下さいませ☆ミ
Posted by ぴよ at 2012年05月22日 10:31
私の考える玩具の定義は・・・
「楽しみながらお勉強」です。
子どもにとっての遊びは大人に成長するためのお勉強だと思います。
例えば赤ちゃんのおもちゃにどんなものがあるかご存知でしょうか?
そのほとんどが知育玩具と呼ばれるものです。
幼児向けだと簡単なパソコンだったりゲームだったりしますが
それも手指の成長のための知育玩具です。

でも何故か小学生以上になると知育玩具は女の子向けのみになってしまいますねぇ。
ママレンジなどのお料理玩具やリリアンなどのお裁縫の玩具があります。
今はもっとありますが・・・。
というわけで私は玩具の定義は
「楽しみながらお勉強」だと思います。





あとゲームソフトが玩具店で売られることになったことですが・・・

アーケードゲームをしてたのが小学生高学年から高校生でした。
ゲーム機は子どもが親に黙って買える値段ではないですし
父親の小遣いじゃ買えない値段。
では誰に買ってもらいましょうか?
「家族で楽しめるゲーム!」を売りにして家族向けのソフトを発売して
一家の家計をにぎっている母親に買ってもらいましょう!
主婦はパソコンショップや電気屋には一人で買い物に行きません。
玩具店ならクリスマスや子どもの誕生日に一人で買い物に行くはず!
(難波様のお宅もファミコンはお母様が買って来られたましたよね?)
・・・って感じの流れだったのでは?と思うのですが・・・。

ちなみにその当時母親だった方々が祖母となり
孫にニンテンドーゲーム機を買ってあげておられます。

上記はあくまでも個人的見解なので間違ってることもあります。
またそれにより難波さんがご気分を害されましたら大変申し訳ありません。


Posted by 高藤 at 2012年05月22日 14:42
ぴよさん>
 コメントありがとうございます。
 また寄らせていただきますね。

高藤さん>
 コメントありがとうございます。
 「楽しみながらお勉強」とは、おそらく玩具の定義としては、一側面を伝える概念に過ぎないと思います。
 物事を模倣し、将来の生活に役立てたり、能力の開発に長けている玩具にその言葉が当てはまります。
 いわゆる知育玩具です。

 たとえばプラレールは楽しい玩具ですが、知育玩具ではありません。その延長にある鉄道模型も知育玩具ではないでしょう。もちろんどんな玩具も知育要素が皆無ではありませんが、言葉を当てはめるのが適当ではないものも多く存在します。

 世の中には様々な玩具がありますが、その言葉だけですべてを説明することは出来きないでしょう。

 あと玩具店で売られるゲームソフトについては、アーケードゲームの模倣があったからこそ定着したのではという理論を展開したので、家族向きに親に買ってもらうという流れはあくまでもマーケットの話しだと考えられます。
 玩具店に本物のビリヤード台は置いてませんが、オモチャのビリヤード台なら手ごろな値段で置いてあるといったことも、僕が書いた「現実または架空の森羅万象を模倣したもの」という言葉が当てはまるでしょう。
(過去記事もご参照ください)

 どの玩具もそうですが、模倣が極めて精巧だと玩具と呼びにくくなるのも、面白いところです。

 そうした大半の人が無意識に認識する部分を、なぜそう思うのかを理論化するのにこうして定義する必要が出てくるわけです。
Posted by 難波鷹史 at 2012年05月22日 15:41
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